坂本 満 西洋美術史講座 第66回
「版画の功罪」その4
12月の講座では、イタリアの版画を中心に技法・主題・功罪などさまざまなお話を伺いました。
同時に坂本先生ご自身がフランスやスペインで見つけたという、ドーミエやゴヤなどのたくさんの版画を、各自自由に手に取り思いつくまま感想を口にして・・ 版画の気軽さを体感しました。
バチカン天井画の版画、技術のすばらしさに気をとられてしまうけれど、
遠くて見えにくいものを細部まで見せてくれる「功」の影に、
誤った図をあたかもそれが正しいかのように広めてしまう「罪」が含まれているのだそうです。
(藤本)
2010年最初の講座になります。
17世紀に入ると版画は、宗教を大衆にわかりやすく伝える役目から離れ、独自の表現として描かれるようになり、たくさんの傑作が生まれました。今回はその中でも多くの作品を残したレンブラントの版画を中心に、お話を伺います。
レンブラント・ファン・レイン
ピーテル・パウル・ルーベンス
ジャック・カロ
ステファーノ・デッラ・ベッラ
講師 坂本 満
【日時】 2010年2月10日(水)
開場 18時30分
【会費】 一般 2,000円 会員 1,000円
【会場】 彩青山ビル4F
2009年
11月 「版画の功罪」その3
11月の講座は、版画の始まりから最盛期までの作品を紹介していただきました。
板目木版でここまで細やかな表現ができるのかと感心したり、繊細な銅版画が金工家の技術見本だったと聞いて納得したり・・・ 版画の超絶技法を堪能しました。
また、絵画の複製画としての版画には別の彫り師が存在したことを知りました。
その彫り師の「認識能力」と「再現能力」の差が、写しとして普及した版画の「功」と「罪」に大きく関わっていたようです。
(藤本)
今年最後の講座は、イタリア ルネッサンス期の版画を中心にお話を伺います。
技術的にもより精緻になった銅版画は、絵画の複製としても用いられるようになり、ルネッサンス美術を広く一般に広める役割を果たすようになります。
アゴスティーノ・ヴェネツィアーノ「死と名声の萬意」
ルドヴィコ・カラッチ「聖母子」
マルカントニオ・ライモンディ「嬰児たちの殺戮」
レンブラント・ファン・レイン「病人たちを癒すキリスト」
アンドレア・マンテーニャ「海神の戦い(部分)」
フランチェスコ・パルミジャニーノ「恋人達」
アルブレヒト・デューラー「大きな馬」
11月 「版画の功罪」その2
10月 「版画の功罪」
9月 「視覚の迷宮」その3
7月の講座は「視覚の迷宮−その2」は、実用以外に透視図法的遠近法を用いた表現のお話でした。
圧倒的に高い実用性を見せるその技法を一つの手法としておもしろがる・・・
そんな余裕すら感じられる図例を幅広く紹介していただきました。
透視図法によって描かれると、ついつい実在するもののように感じてしまうのでしょう。
それが妙な組み合わせで見せられると違和感となり、しっかり記憶にとどまってしまうようです。
(藤本)
8月はお休みをいただきましたので、後半最初の講座が「視覚の迷宮」の最終回になります。
今回は、江戸の遊び絵を中心に、お話を伺います。
絵のおもしろさもさることながら、遊び心にかくも情熱を注いでしまう絵師たちに、思わず頬がゆるんでしまいます。
歌川国芳
ジュゼッペ・アルチンボルド
サルバドール・ダリ
7月 「視覚の迷宮」その2
6月 「視覚の迷宮」
5月の講座は、昨年の5月から始まったシリーズ「芸術の始まりを探る」の最終回、図像学・図像解釈学についてのお話でした。
イコノグラフィーとイコノロジーとの違い、アトリビュートにアレゴリー・・・
ひとつひとつの言葉は何とか受け入れてみたものの、はてさて、
一枚の絵を見るのにどれだけの知識を持ち込んだら「見た!」といえるのでしょう。
お話が進むにつれて膨らむ不安・・・
「なんか、深読みをしすぎているように僕は思いますね。美学は文献史学になってしまってますね。絵を見ないんですよ。」と先生。その言葉でやっと救われた思い!
(藤本)
この講座も回を重ねること60回。
今回は、記念講座として、ちょっと一息、だまされることを楽しんでいただきます。
人間の目がカメラと違うのは、脳による認識が加わります。そこで様々な予期せぬ出来事が起こります。
ジュゼッペ・アルチンボルド 「ウェルトゥムヌスに扮したルドルフ2世」
歌川国芳
垂直水平錯視
コフカのリング
1888年ドイツで発売された絵葉書
ジャストロー
ネガポジ錯視
エッシャー
3月 「ルネサンスに始まる かたちの呪縛」その2
前回(2月)の講座ではルネサンス初期の絵画を中心に、遠近法の表現や見え方の個人差についてお話を伺いました。
遠近法によって説得力のある、客観的(合理的)認識が得られたことは確かに有用でしたけれど、それはまた19世紀になるまでの長い期間「西洋美術に不自由な表現を強いる」結果になったとは意外でした。今でも立体感のある絵を「いい絵だね」と評価する場面をいっぱい目にしているのに・・・
庭の造り方に「自然」に対する認識の違いが見えるとも伺いました。私たちには自然の再現に思える日本庭園が、西洋人にはわざとらしい造りに見えるのだそうです。同じものを見て同じように認識することの難しさを思うと同時に、「自然であること」と「美しいこと」との区別の大切さを思いました。
(藤本)
前回の遠近法に引き続き今回は人物、特に顔の表現に見られる様式の変化について、お話を伺います。
シモーネ・マルティーニ「受胎告知と聖アンサヌス、聖女」部分
ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫婦」部分
ピーテル・ブリューゲル「足なえたち」
東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」
ラファエロ・サンツィオ「ラ・ヴェラータ」
喜多川歌麿「寛政三美人」
与謝蕪村「柳陰漁夫図」部分
2月11日 「ルネサンスに始まる かたちの呪縛」
2008年の締めくくりは、特別講座「擬洋風建築」でした。
明治時代の初めの学校や郡役所などをスライドで紹介していただきました。
松本の開智学校は、わざわざ横浜に洋風建築を見に来た大工が造ったのだそうです。
洋風建築の様式を積極的にそして自分なりに真似たことを「擬」という文字で表されているとのこと。
石造りの建物を木造で模してしまう、丸みを帯びた窓を付けてみる・・・
「不思議のかたまり」「おもしろくてしかたがない」と先生。
珍しさや憧れで創造意欲をかきたてられた大工たちの気持ちは、羨ましいようにも思えます。
(藤本)
一月はお休みをいただき、今回が2009年最初の講座になります。
中世までは神の世界としてシンボリックに描かれてきた宗教画も、ルネサンス以降、現実の世界により近づいた表現が用いられるようになり、背景も遠近法を使った写実的な表現になっていきます。
2008年
12月10日 特別講座「擬洋風建築」
11月12日 「華麗なる後期ゴチック」−さまざまな様相−
10月は「聖なるかたち・宗教芸術」のお話でした。中世のゴチック建築について、構造と装飾との関連など、詳しく聞かせていただきました。
尖頭アーチが生んだ天井を「リブが這い回っていますね」と先生。薄暗く神秘的だった空間が急に身近なものになりました。また、柱はさまざまな形の隙間を生み出し、その隙間にあわせた彫刻や壁画などは「写実的表現から開放された魅力があるのですね」とも。
制限が自由や解放を生むという人の心のおもしろさを感じました。
11月は「華麗なる後期ゴチック」についてのお話でした。造形へのこだわりがストレートに伝わってくる部分、さまざまな様式が混然と存在する実例をたくさん見せていただきました。
「ぼくは末期が好きなんです、いろいろなものの」
「石でこれだけのものを造り続けていく労働の密度がすごい」と先生。
お話を聞いていて是非一度見てみたいと思ったのは、ポルトガル・トマールの修道院教会。そのボリュームたっぷりの縄模様をめぐらせた窓の前で、先生の「(様式が)もうぐしゃぐしゃになってますね」という言葉を思い出すのかも・・・
9月10日 「古代・帝国の美術」
前期最後7月の講座は、前回に続いて先史時代の美術をテーマにお話を伺いました。お話のなかで「これは何だと思いますか?」と先生。資料として配られたコピーは坂本先生オリジナルのクイズ付き! 石器時代彫刻などの中に、ピカソやアルプの作品が潜んでいました。ほんと、気を付けて見なければわからないものばかり。美・芸術・洗練・・・わかっているつもりの言葉、偏った知識がものを見る目を鈍らせていたのかもしれません。(藤本)
後期最後の講座は、紀元前6世紀から紀元後5・6世紀の「古代・帝国の美術」です。
この壮大なる遺産を見るにつけ、かつて我々人類が持っていた、人間力のすごさを思わずにはいられません。
7月9日 「先史美術のなかの具象と抽象」その2
前回は、人物が線のみで描かれている洞窟壁画や、鳥の首や動物の角などが抽象的に捉えられている先史美術の表現の例をいろいろみせていただいた後、時代はとんで20世紀の戦争絵画に話題が広がりました。
戦時中の絵画は政府の方針に沿ったものが中心だったことはなんとなく知っていましたが、勇ましい戦闘場面を描いたもの以外に、死を覚悟させるようなものがあったと知り、背中が寒くなりました。
画家でない人々が戦争体験を率直に表現した画集も見ることができました。「うまい絵」ではない「伝わる絵」を実感しました。(藤本)
前回のイレギュラーな形で戦争画の話を中心にお話を伺った関係で、今回は再度先史美術から、エジプト、オリエントあたりまで話を進めていただきます。
6月11日 「先史美術のなかの具象と抽象」
前回は、新シリーズ第1回として「見ること」と「見えること」の仕組みからお話が始まりました。
「人の細胞数で見ると、目は耳をはるかに上回っている」のだそうです。録音再生した音と生の音は聞き分けられなくても、複製画と原画は容易に見分けられる・・・目の神経が得た情報を脳のあちらこちらで認識して・・・
そんなすごい能力を私はちゃんと生かしてきたのかしらと「我が眼」に申し訳ない思いがしています。(藤本)
今回のテーマは「先史美術のなかの具象と抽象」。旧石器・中石器・新石器時代の美術です。
なぜか動物はリアルに人間は抽象的に表されています。


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第10回 最終回